Long Time Missing

Photo by Yuko Suzuki
Photo by Yuko Suzuki

2017年11月22日、Tommy Keeneが亡くなりました。享年59歳、LAの自宅で眠っている間に安らかに亡くなったそうです。

2015年秋に、The Small Squareのツアーの準備をしていた時、Paul Chastainからの”Lead guitarist is Tommy Keene”というメールを読んで、梅田の街中で思わず声が出てしまいました。何度も読み返して、Paulに聞き返しました。「あのTommy Keene?」「So-yo」
こうして、一方的にファンだったミュージシャンが、自分とリアルな関わりを持ち始めました。

ツアーに関わる中で、Tommy Keeneのファンが日本中に多くいることを知りました。それも、パワーポップの熱心なリスナーや、ReplacementsやGbVのファンばかりではなく、emo系やハードコアのリスナー、ギターポップファンまで、多岐に渡って。

そしてライブで多くのファンに出会いました。みんな「どこで見つけたんや…」というくらい、たくさんCDやレコードを抱えて、集まってくれました。
訃報を受けて、世界中から多くのツーショット写真やサイン入りレコードの画像が、これでもかというほどFacebookにアップされ続けましたが、それはまさにこんな地道なライブ活動を何十年も続けてきた結果だったわけです。

クランベリー・ウォッカを嬉しそうに飲んでたこと、毎晩ステージから「Nono!」(※現・グラスゴウ食堂の野々村氏)って呼んでたこと、アコースティック・ショウだと言ってるのに、進むにつれBradやJohnを呼んで普通にバンド演奏をはじめたこと(もちろん、それをお客さんが望んでるとわかっていて)、リーバイス、Dr.ペッパーのTシャツに、90年代からずっと着てる”Ontario Cleaners”のジャケット。ボロボロのテレキャスターは、世界一価値のあるギターーたとえ「子供の頃Jeff Beckから貰った」という逸話が作り話だったとしてもー。
全てが懐かしく思い出されます。
楽しそうな時も疲れてる時も、いつも表情豊かで、周りにいる人を楽しませてくれました。
みんなが彼のことを好きになりました。

The Small Squareのツアー、そして2017年2月のTommy Keeneのバンドでのツアーと、2回彼に関わるツアーを企画することが出来ました。それは、ギターロック・ファンとして、ライブの企画者として、僥倖というべき経験でした。
2月のツアーが終わった後、「トオル、これからもう一枚アルバムを作るから、1年か2年後にもう一回ツアーをやろうぜ!」というメッセージをくれました。それはもう叶わなくなってしまいましたが、僕の中で「自分が信じることをやり続ける」という約束に変わりました。

最後に、各地で公演に関わってくださった皆さん、ライブに来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。
これからも、Tommy Keeneという素晴らしいミュージシャンのことを、語り継いでいきたいと思います。

BASEMENT TAPESについて

一部記憶があやふやになっていますが…BASEMENT TAPESというイベントについてのお話を。

BOYS ON THE BEACHのギタリスト、森さんと電話で話したのが事の発端だったと思います。これまでSmall SquareやLolas、Tommy Keeneのツアーで関わってくれたバンドを集めてライブイベントやったら楽しいだろうね~という話から、「やるなら関西で!re-Peatと一緒に行きますよ」「だったらMayflowersも呼ぶしかなくね?」「岡山でもイベントがんばってるバンドがいましたよね?」みたいに話が広がって。

その少し後に、Strike Threeの企画でMayflowersが岡山でライブをやることがあり、暇だった私は青春18きっぷで大阪府南部から岡山まで行ったのでした。その打ち上げの場でイベントの話をしたところ、両バンドとも乗り気になってくれました。

Chelsea Timesは今年の後半ライブ活動の予定があまりなくて、どうなんやろ?と思いながらオファーしたところ、オッケーいただけました。DM3大阪公演の時に最初にダメ元でオファーしてから、実に五回目のLOWLIFE企画への出演です。

転換時に流れる音楽へのこだわりも、LOWLIFE企画の大きな魅力だと思います。
今回のDJはお馴染みのリュウくんとモクオくん。そして僭越ながら私も回させていただきます。それぞれテイストが異なりつつ、出演バンドのカラーに合わせたいい感じの選曲になると思います。

そして、最後にBrad Quinn。Small Square、Lolas、Tommy Keeneのツアーメンバーとしてお馴染みの彼ですが、今回はアコースティックギターの弾き語りで参加してくれることに。
元々は他のバンドと同じステージに出てもらう予定で、ソロ・アコースティックライブということで、どういう出演順にしようかな…と悩んでいたんですが、グラスゴウ食堂に飲みに行った時にオーナーが「じゃあ、チカイチでライブやって、ウチでアコースティックライブやればいいんじゃない?」と提案してくれて、「それや!」と決まりました。

ライブハウス地下一階に連絡したところ、希望の日が空いていたため仮押さえ。
チカイチとグラスゴウ食堂は距離にして200mと、とても近い場所にあるため、地下一階でバンド勢がライブをやった後、グラ食でアフターパーティ的にアコースティックライブをやるという流れに決定。
ライブハウスでロックバンドのライブを楽しみ、音楽好きが集まる洋食バルで飲み食いしながらアコースティックライブを楽しめるという、贅沢な企画になりました。

文字通り地下のライブハウスで開催されること、そしてMayflowersがRubinoosのライブに出演することが決まっていたので、Rubinoosのアルバムタイトルから”BASEMENT TAPES”というイベントタイトルに決定しました。
フライヤーのデザインはカセットテープをモチーフにしました。

前々からこういうイベントをやりたいなぁとは思っていたんですが、なんか最終回みたいというか、そのまま思い残すことが無くなってしまうじゃないだろうか…という気持ちもありました。
しかし、今回呼びたくて呼べなかったバンドもたくさんいるし、これはシリーズ化しなければ…という気持ちが湧いてきて、「vol.1」としました。

一言にパワーポップ、ギターポップと言っても、出演バンドのサウンドはそれぞれ個性的です。例えばChelsea Timesは出演バンド中、最もパンキッシュな勢いのある演奏をするバンドだと思います。Strike Threeは90年代オルタナ・パワーポップの影響を受けた重厚で安定感のあるサウンド。re-Peatは、Teenage FanclubやVelvet Crushの影響を受けたメロディを大事にしたギター・ロック(…けどライブではかなりアグレッシブな感じなのかな?)。BOYS ON THE BEACHは新境地を開いた”Addiction EP”からどんな変化を見せているのか楽しみなところ。そして、現ラインナップのMayflowersはかなりハードロック寄りのサウンドになっているので、久しぶりに観る方はきっと驚くと思います。

いずれも、ギター、ベース、ドラムとヴォーカルのシンプルな構成で、できるだけ良いメロディを作ろうと必死になっている人たちです。そして、それはこれまでLOWLIFEの企画で迎えてきたバンドたちと同じスピリットで、だからこそこれまでの企画で関わって、今に至るのだと思います。
Paul ChastainやTommy KeeneをきっかけにLOWLIFEの活動を知ってくださった方も、是非12/2(土)は地下一階・グラスゴウ食堂へお越し下さい!

BASEMENT TAPESのイベント詳細はこちら
BASEMENT TAPES EXTRAのイベント詳細はこちら

Tommy Keene 入門編

「Tommy Keeneの音楽を聴いてみたいけど、作品数が多くてどれから聴いたらいいのかわからない…」という方も多いと思います。
そこで、入門用のプレイリストを作ろうと考えていたのですが、その時ひとつの考えが頭をよぎりました。
「各アルバムの一曲目を続けて聴いていったらいい感じじゃね?」と。

以下に、YouTubeにあったものからいくつかを挙げてみます。

Places That Are Gone

Nothing Can Change You

Going Out Again

Long Time Missing

Begin Where We End

Deep Six Saturday

ちなみに、CDや、Apple Music、Spotifyで最初に聴くなら、二枚組の編集盤”You Hear Me : A Retrospective: 1983-2009”がオススメです。

CD(Amazon)

Apple Music

Spotify

来日公演の詳細はこちらです!

DIGGING

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大阪・東心斎橋のバー、ContortでDJイベントを開催します。
80年代〜現代までのインディロック(US/UK/その他)を中心に、ゆるい感じでお送りします。
夕方からやってますので、買い物のついでにでも気軽に寄って下さい。

DIGGING
INDIE ROCK/POPS DJ PARTY
at Sound In CONTORT
2016/5/15(sun) 16:00-22:00
Charge 1,000円(w/1d)
DJs / Yamamoto,OKD

Contortの地図はこちら

以下、数年前に「DIGGING (for something)」というタイトルで開催したイベントでの、僕のセットリストです。
だいたいこんな感じでお送りすると思います〜。

1st
The National – So Far Around the Bend
The Head and the Heart – Coeur D’Alene
7 Worlds Collide – Too Blue
House of Love – A Baby Got Back To Its Feet
Saltine – Find Yourself Alone
Jayhawks – I’d Run Away
Wilco – I Can’t Stand It
Glen Campbell – In My Arms

2nd
Vampire Weekend – Step
Born Ruffians – With Her Shadow
Jukebox the Ghost – Oh,Emily
Generationals – Put a Light on
STRFKR – Boy Toy
The Postal Service – Sleeping in
Styrofoam – Anything
The Magnetic Fields – You and Me and the Moon

3rd
Matt Pond – Love to Get Used
Death Cab For Cutie – You Are a Tourist
Grandaddy – Now It’s On
M.Ward – Primitive Girl
She & Him – Never Wanted Your Love
Camera Obscura – Do It Again
Pernice Brothers – 7:30
The Spinto Band – Summer Grof
Rooney – I’m Shakin’

4th
Big Star – Feel
The Replacements – Can’t Hardly Wait
R.E.M. – Near Wild Heaven
Teenage Fanclub – Discolite
Guided by Voices – Chasing Heather Crazy
Someone Still Loves You Boris Yeltsin – Sink/Let It Sway
Superchunk – Digging For Something
Neutral Milk Hotel – Holland,1945
Arcade Fire – Rebellion (Lies)
Pavement – Cut Your Hair

Bruce Springsteen – Born in the USA

グラスゴウ食堂

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大阪・堺筋本町の洋食バル、『グラスゴウ食堂』に行ってきたのでレポートします。
オープン当初から既に何度か通ってるんですが、「注文したもの全ての写真を撮って記事にしよう!」と思い立ってやってみました。

グラスゴウ食堂は、音楽好きのオーナーとシェフのお店です。
その名の通りグラスゴーの音楽を中心にギターポップ、パワーポップなど良い感じの音楽が店内に流れています。
ちなみにこの日は、Squeeze(来日公演最高でした!)やXTC、Kirsty MacCollなんかがかかっていました。
店内のいたるところにレコードジャケットもディスプレイされています。最近はTravisやBelle and Sebastianのポスターも貼られてるそうです。
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この日は総勢9人の飲み会だったので、前菜からデザートまでかなりたくさんのメニューを味わうことができました。
これだけの食べ物に加え、各自けっこうアルコールも飲んでいましたが、この日の会計は一人頭3500円程度でした。
なんというコストパフォーマンス!普通のよくあるチェーン店の居酒屋でもそれくらいになりますよね。

おまかせ前菜盛り合わせ
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自家製ロースハム
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カルパッチョ
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カニクリームコロッケ
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骨付き鴨もも肉のコンフィ
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アスパラガスのグリルと目玉焼き
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和牛入りあつあつ鉄板ハンバーグ デミグラスソース
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海老とキノコのアヒージョ
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ホタルイカと筍、三つ葉のスパゲッティーニ 柚子胡椒風味
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スモークサーモンとアスパラガスのレモンクリームソース リングイネ
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ベイクドレアチーズケーキ(2層のチーズケーキ)
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メイプルフレンチトースト バニラアイス添え
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いちごのクラフティタルト
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デザートはちょっとメニュー変わってるみたいです。
他にも、季節や仕入れ状況によっていろいろ変わったりするようです。
詳しくはFacebookページなどで。

グラスゴウ食堂の場所はこちら。

特に金曜日、土曜日は予約で席が埋まっていることが多いみたいなので、早めの御要約推奨です!

LOLAS JAPAN TOUR T-SHIRTS

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LOLAS JAPAN TOURのTシャツのデザインです。
画像は合成したものですが、だいたいこんな感じのイメージで制作中です。
ベースボール・ファンのBradの好みを反映して?野球っぽいデザインですね。
S・M・Lの3サイズ制作予定です!
少量生産ですので、欲しい方はお早めに!

Tim Boykinについて

私がTim Boykinの音楽に初めて触れたのは、2001年頃かな?友達に教えてもらって、Lolasの”Silver Dollar Sunday”を聴きました。
アルバム全体、とにかくキャッチーなメロディが満載で、すぐに好きになりました。

そしてさかのぼり、Lolasの”Ballerina Breakout”や、Shame Idolsのアルバムを聴きました。今となったら意外に思われるかもしれませんが(?)、名古屋のレコード店・file-underでその手のパワー・ポップものが多く扱われていたのでした。

2002年の来日公演は、私は残念ながら観に行くことができませんでした。
その後リリースされた3rdアルバム”Something You Oughta Know”は、まさにマスターピースと呼ぶに相応しい名曲揃いの作品でした。ファンの間でも、これか”Silver Dollar Sunday”をベストに挙げる人が多いんじゃないでしょうか。

Tim Boykinのキャリアを振り返ると、音楽性の変遷が伺えます。
Carnival Seasonのサウンドは、Husker DuやReplacementsに通じる骨太なロックで、Lolasからさかのぼって聴いた人は驚くかもしれません。おそらくBrad Quinnのカラーが強く出ていると思われるのですが、その中でも、例えば”Misguided Promise”のようなポップ・チューンからは後のTimの音楽に繋がるものを感じられます。

Timのポップ・センスが炸裂するのは、やっぱりShame Idolsから。Buzzcocksばりのパンキッシュなファスト・チューンが多く、ポップ・パンク系のリスナーからの人気も高いんじゃないでしょうか。
1st ”I Got Time”も勢いがあって最高ですが、個人的には2nd ”Rocket Cat”が大好き。アメコミ風のイラストのジャケットも最高ですね。

リリース時期が近いこともあってか、Lolasの1stは、Shame Idolsの余韻を残しているように思えます。タイトル・トラックの”Ballerina Breakout”なんかは”Rocket Cat”に入ってても違和感なさそう。

そして、前述の”Silver Dollar Sunday”、”Something You Oughta Know”で、Tim Boykin流ポップ・サウンドは一つの完成形を迎えます。

Lolasの四作目となる”Doctor Apache”(というタイトルで日本盤がリリースされ、後に曲を追加して”Like the Sun”というタイトルで再リリース)は、「少し落ち着いた」という印象を持たれた方も多いかと思います。たしかに、それまでに比べて憂いを含んだ曲調が多いような。中でも、Byrds風のギターが印象的な”Doctor Apache”は出色の出来。
しかし一方で”Eye Eye”や”Me And Barbara Stanwyck”のようないかにもLolasらしいキラー・チューンはあるし、疾走系の”Staying Inside”もあり、実は根本的にはあまり変わってないような気もします。

その後、Lolasとしてはオリジナル・アルバムのリリースは無く、2007年にはShame Idolsのアルバム”The Light is Always on”がリリースされていますが、その後は日本のポップミュージック・ファンの間でTim Boykinの名前を聞くことは少なくなりました。

今回、ツアーを企画するにあたり、Lolasのアルバムをよく聴き返していますが、当時そこまで何度も聴き込んでいなかったはずの曲でも、メロディを覚えていることが多いことに気付きました。
それだけ印象的なメロディが量産されていたということで、Tim Boykinのメロディ・メーカーとしての才能が感じられます。

そんな素晴らしいソングライターに、バックを固めるリズム隊も優れたプレイヤー達。ツアーでは、きっと凄いライブを見せてくれるはずです!乞うご期待!

Brad Quinnについて

これまで、私が企画してきたライブ…DM3大阪公演、The Small Squareジャパンツアー、そしてLOLASジャパンツアーと、その全てに深く関わっているミュージシャンがいます。
その名はBrad Quinn。

1965年、アラバマ州バーミングハム生まれ。84年にTim Boykin、Ed Reynolds、Mark Reynoldsらと共にCarnival Seasonを結成、ベースを担当。Tommy Keeneのプロデュースによるアルバムや、PrimitonsのMats Rodenのプロデュースによるepなどをリリース。
Carnival Season解散後は、Tommy Keeneのバンドメンバーとして活躍。ドラマーのJohn Richardsonと共にTommy Keeneサウンドには欠かせない存在となっている。

こちらのインタビューに詳しく書かれていますが、Bradは2000年頃に日本に移住、それからずっと関西で生活しています。

私とBradの出会いは、1年前の2015年1月にさかのぼります。
東心斎橋のクラブ・ワンダーでDJをしていた時に、オシャレな身なりの外国人のおじさんが遊びに来ました。
話を聞いていると、Tommy Keeneのバンドでベースを弾いているといいます。
クラブ・ワンダー店主もTommy Keeneのファンだし、その場にいたDJ・客の多くがTommy Keeneを知っていて、その時はかなり盛り上がりました。
偶然他のDJがThree Hour Tourの7”持ってきてたのをかけたり。

その時Bradは、おそらくPaul Chastainにワンダーのことを教えてもらって来たのかな?

その後、彼と再会したのは2015年5月、DM3大阪公演の時です。
DM3とPaul Chastainの共演というスペシャルなイベントでしたが、その時にPaulとのデュオで見事なアコースティック・ギターのプレイを披露してくれました。

そして、秋のThe Small Squareのツアー。
6日間6公演というスケジュールでしたが、なんとBradはそのうち3公演、昼間に仕事をしてからの参加でした。京都の大学で午前中働いて、新幹線で東京まで来てライブやったり。
そんなハード・スケジュールの中でも、安定感抜群のベース・プレイとコーラスワークでバンドを支えてくれました。

そんなBradから、Tim Boykinを呼んでツアーをしない?という誘いをもらい、今回のLOLASのジャパンツアーを開催するはこびとなりました。
人との繋がりから広がっていくのがインディ・ロックの面白さだし、ことごとく素晴らしいミュージシャンに繋がっていることを嬉しく思います。

また、Bradは2/28(日)のクラブ・ワンダーでのライブでは、MQというデュオでも演奏します。
詳細は不明ですが、BeatlesやBig Starの曲をやると聞いています。こちらもお楽しみに!