僕がNick Loweというミュージシャンを知ってから随分経つけど、掘り下げて聴くようになったのはわりと最近。2011年にビルボード・ライブでの来日公演を観たのがきっかけかな。あれは本当に素晴らしかった。最後に”When I Write a Book”が始まった時は思わず声を上げてしまった。
正直に告白すると、それまで僕は”Anthology”という2枚組CDと、”Jesus of Cool”、”Labour of Lust”くらいしか聴いたことがありませんでした。
”Anthology”は2002年までの全キャリアを網羅したなかなか良い選曲の編集盤で、リリース当時に買ってよく聴いていたんですが、Brinsley Schwarzからソロデビュー、Rockpileとその少し後までが収録された一枚目ばかり聴いていました。
しかし、ある日気付きました。「”Anthology”の二枚目…めちゃめちゃ良くね?」と。
特に”She Don’t Love Nobody”、”Rose of England”が気に入って、何度も繰り返し聴くうちに、これらが収録されたアルバムを聴いてみたいと思うようになり、”Rose of England”の中古盤を購入しました。
Nick Lowe And His Cowboy Outfit / The Rose of England
1. Darlin’ Angel Eyes
2. She Don’t Love Nobody
3. 7 Nights To Rock
4. Long Walk Back
5. The Rose Of England
6. Lucky Dog
7. I Knew The Bride (When She Used To Rock ‘N’ Roll)
8. Indoor Fireworks
9. (Hope To God) I’m Right
10. I Can Be The One You Love
11. Everyone
12. Bo Bo Skediddle
85年にリリースされた本作は、前作に続き”And His Cowboy Outfit”名義となっており、Paul Carrack(元Squeeze他)、Martin Belmont、Bobby Irwinがメンバーとして名を連ねている。
John Hiatt作のM2、Huey Lewisプロデュース・Dave Edmundsへの提供曲のセルフカバーM7、Elvis CostelloのカバーM8など、トピックが盛り沢山。M3はロカビリーのクラシック・ヒットのカバーだし、後にGraham ParkerがM5をカバーしていたり、「パブ・ロックの総決算」と言っても過言ではないくらい、パブ・ロックの要素が詰まった作品ですね。
先述の”Anthology”に、このアルバムから5曲が選ばれているんですが、それはかの名作”Labour of Lust”と並ぶ曲数です。おそらく、ファンの間でも”Labour of Lust”と同じくらい、この作品をベストとして挙げる人は多いんじゃないでしょうか。そして、”Labour of Lust”と並んで、初めてNick Loweの音楽に触れる方にも自信を持ってオススメできる一枚です。
ひとつのアーティストの、ほんの数曲だけを聴いて知ったような顔をしてしまうことが度々あります。キャリアの長いミュージシャンなら尚更。音楽の良さを理解するためには相応の時間がかかると思うので、できるだけしっかりと、いろんな音楽に耳をかたむけていきたいと思います。知ったような顔をするためではなくて、より深く楽しむために。