Paul Chastainのこと

Velvet Crushの音楽に初めて触れたのは、たしか高校生の頃でした。
8つ年上の兄がいて、CDをたくさん持っていて…渋谷系とか、ブリット・ポップとかいろいろ。
OasisやSupergrass、Teenage FanclubやSloanなどのアルバムを借りてよく聴いていました。
そんな中に、”Teenage Symphonies to God”がありました。

…とは言っても、僕は何かの雑誌を読んで「ふむふむ、Velvet Undergroundというバンドは聴いておかなければならないな…」と思い、間違えて借りたのだけども…。

そんな脱力エピソードは置いといて、Teenage Symphonies to Godは、気に入って聴いていました。好きだったのは”Hold Me Up”と”Atmosphere”。
ただ、例えば”Time Wraps Around You”や”Why Not Your Baby”のような、スロウな曲の良さがわかるようになるのは、もう少し後の話でした。

時は流れ、大学生になり、アルバイトなどをして自分でCDを買ったりするようになりました。
VCのアルバムも全部揃え、Choo Choo TrainやSpringfieldsも聴きました。
ただ、20歳くらいの頃は毎日のようにレコード店に通い、たくさんの音楽に触れていて、VCはたくさんの好きなバンドの中の一つという感じになりました。

そして2004年、Matthew Sweet & Velvet Crushの来日公演。心斎橋クアトロで観ました。
2組の好きな曲がたくさん聴けて、本当に楽しく、贅沢な夜だったなぁ。

この辺り以降、解散こそしていないもののVCとしての目立った活動は無いのですが、個人的にVC、特にボーカル/ベースのPaul Chastainの存在が重要なものになってくるのは、この後のこと。

東心斎橋にあるロック・バー、クラブ・ワンダーでPaul Chastainのライブを観たのは、2012年と2013年のことだった。ソロで、ギターの弾き語り。
正直なところ、最初はバンドじゃないと物足りないなぁ…などと思いながら観ていたけど、次第に引き込まれてしまいました。

そして、Paulが聞き覚えのあるメロディを歌い出しました。
Dylanの「くよくよするなよ」

2012年当時、僕はとても落ち込んでいました。音楽関係のことを仕事にするのを諦め、30代にして再び始めた会社勤めは難しいことが多く、プライベートも、全てにおいて空回り。

そんな時に、Paulの歌声がひたすら優しく響きました。
まるで僕に語りかけてるように…そんなわけないんだけど。

Paulの歌声は線が細く、ともすれば弱々しいと感じる人もいるかもしれません。
しかし、その声質を前提にしてこそ、複雑なギターの絡みやコーラスワークを多用したVelvet Crushのアレンジが生まれたのではないかなぁと推測しています。
もし、Paulが「ロック向きの」声質だったなら、彼が生み出してきた名曲の数々も、違ったものになっていたかもしれません。
(アメリカ人である彼らの音楽が、イギリスや日本で高い人気を得たのは、すごく納得できるというか。)

そして、彼の紡ぎ出してきたメロディの数々を、十二分に堪能できるのが、弾き語りスタイルだと思います。
5月4日のライブでは、サポートにTommy KeeneのバックバンドやCarnival Seasonのメンバーとして知られるプレイヤーのBrad Quinnを迎え、デュオで演奏してくれます。

結局宣伝になってしまいましたが、この文章を読んで興味を持ってくれた方は、とにかく一度Paul Chastainというひとの歌を聴いてみてください!
ポップ・ミュージックが好きなら、きっと何かを感じ取ってもらえると思います。

DM3 大阪公演

出演者:
DM3
Paul Chastain(The Small Square,Velvet Crush)
Chelsea Times
Lady Flash

2015年5月4日(月・祝)
会場:松屋町 地下一階[chika-ikkai]
料金:前売3000円(+1d)/当日3500円(+1d)
チケットのご予約ご希望の方は、こちらの申し込みフォームに必要事項をご記入の上、送信して下さい。

Live in Osaka

大阪府南部の某市に住んでいます。一応大阪府下ではあるけど、とりたてて何も無い田舎町。
難波まで電車で一時間。

遊ぶといえば、だいたいミナミか梅田、たまに天王寺。
ミナミにはたくさんのライブハウスやクラブがあり、今でもそれなりにたくさんの素敵なレコード店があり、ロック・リスナーにとっては楽しい街だと思います。

しかし近年、昔に比べて海外アーティストの来日公演は東京のみの開催が増え、大阪でのライブ開催が減っています。

地方を回れば赤字になる可能性が高いのだろうと思います。
特に、実績があり日本ではそこまで知名度の高くない中堅・ベテランバンド。
(もちろん、それでも大阪は他の地方都市に比べてずっと恵まれていると思います)

それにはいろいろな要因があると思うし(CDの売上減、ロックフェス文化の定着など)、「大手イベンターは地方のファンを大切にしろ!」「大阪の音楽ファンが不甲斐ないからそんなことになるんだ!」などと言うつもりは全くありません。

ただ、個人的に大阪でずっとロック・リスナーとしていろんなことに関わってきて、大阪にたくさんの熱心な音楽ファンがいることを知っているし、できれば大阪でいろんなバンドのライブを観れる状況ができればいいなと思っています。

今回、DM3の大阪公演を企画することを決心した理由のひとつに、そんな気持ちがあります。
大阪でDM3のライブが開催され、盛況になることで、今後レーベルやイベンターの方が他のバンド・アーティストが大阪でライブ開催を検討する際、少しでも後押しになればと。

夢想家と思われるかもしれませんが、わりと真剣にそんなことを考えています。

なんかこういう話は説教臭くなったりしがちですが、言いたいことは「俺はがんばってるから現場に足を運んでカネを落としてね!」ってことではなくて、「面白いことやるから一緒に楽しもうぜ!」ということ。
まずはDM3の曲を聴いてみてください。パワーポップ、ギターポップが好きな方なら、きっと気に入っていただけると思います!!

DM3大阪公演の詳細はこちらをご覧ください。

まだ発表できませんが、共演者も素敵なことを企んでいます。エキサイトしていただければ、幸いです。

山本

Make A Record For LOWLIFE

前々から何か長い文章を書くところが欲しいと思っていて、今回ちょうど告知を掲載するスペースが必要となり、新たにBlogを立ち上げました。

屋号というかBlogタイトルというか、ひとまず「LOWLIFE」と名付けました。
これは、以前Boston Spaceshipsの日本盤CDリリースに携わり、自分のレーベルを立ち上げようと試みた際に、マネージャーを通じてRobert Pollardに考えてもらったレーベル名です。
(結局CDはMoorworksからのリリースとなり、レーベル立ち上げは実現しませんでした。)

最初のエントリーということで、私の自己紹介を。

山本徹
大阪府在住のロック・リスナー、レコード・コレクター。
2000年頃より大阪や名古屋のクラブ、バーなどでDJ活動を開始。
2008年頃より、主にインディロックについての執筆活動を開始。
また、仙台のインディ・レーベルMoorworksのスタッフとして海外アーティストの作品のリリースや来日公演開催に携わる。

ここ数年、普段は会社員として働いており、たまにDJをする以外には特に目立った活動をしていませんでしたが、この度お話をいただき、DM3来日公演の大阪公演をオーガナイズさせていただくこととなりました。
素晴らしいバンドのライブに関わることが出来てとても嬉しいです。
良いライブイベントを開催できるようがんばりますので、皆様よろしくお願いいたします。