The Small Square Japan Tour Diary 1

DM3大阪日記が終わっていないことは承知の上なんですが…。

2015年10月30日から11月4日にかけて、ポール・チャステイン(Velvet Crush)と、ドラマーのジョン・リチャードソンによるユニット、The Small Squareのジャパン・ツアーを開催しました。

The Small Squareのアルバムのリリースを手伝うことになった経緯は前にも書きましたが、アルバムを出したら次にやることと言えばツアーです。

ポールは、バンド形式でのツアーを熱望していました。
しかし僕の正直な気持ちとしては、アメリカからバンドメンバーを呼んでツアーをするのは難しいと思っていました。
ポールのソロか、ポールとブラッドのデュオで東名阪+どこかの地方都市を回るのが精一杯かなぁ…と。

一度、ポールと話し合いをしました。僕はやんわり断るつもりでした。
しかし、ポールの意思は固く、「少なくとも東京と大阪の動員には自信がある」「(渡航費について)ベーシストは日本在住の奴がいるんだ(その人知ってる!)」など、穏やかな様子ながらも強くアピールしてきました。

ツアーに際して、僕のことを「熱意あるイベンター」「漢気溢れる主催者」と言っていただくことが何度かありましたが、実際のところはそんなに立派なものでもなく、ただただ人の熱意に動かされて行動していただけだと思っています。
それもこれも、ポール・チャステインの音楽的才能と、その人間性に惚れ込んでのことでした。

こうして、The Small Square ジャパン・ツアーの開催が決定したのでした。

Tommy Keeneについて

今回のThe Small Squareのツアーの宣伝をしていて、思った以上に日本にもTommy Keeneの熱心なファンが多いことを知りました。

熱心なパワーポップファンはもちろん、オルタナ、インディロックのファンなら、聴いたことはなくても雑誌やネットやレコード屋の棚で一度くらいはTommy Keeneという名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。僕も長い間、「名前は知っている」というアーティストでした。

僕が最初にTommy Keeneという名前を強く意識したのは、Guided by VoicesのRobert Pollardと一緒にやっていたKeene Brothersというユニットからでした。
ただ、その時は正直なところ、無数にあるBobのサイドプロジェクトの一つという認識でした。
(作品の内容も良いんですが、Bobのカラーが強いです)

僕が本格的にTommy Keeneの音楽のファンになったきっかけは、Paul Chastainでした。
彼はかつて東心斎橋のClub WonderでDJをやったことがあるんですが、その時にTommyの曲をかけていて(たしか、「Isolation Party」からだったと思います)、すっかり気に入ってCDやレコードを買い集めました。
それから、彼がVelvet Crushのサポートでギターを弾いていたこと、ReplacementsのPaul Westerbergの隣でもギターを弾いていたことなどを知りました。

GbV関連で知って、聴き始めたのが「Isolation Party」でその次に「Ten Years After」だったり(いずれもMatadorからのリリース)で、僕の中では「Matadorの人」というイメージがありました。
私は若い頃にPavement、Yo La Tengo、Superchunkといったバンドに熱烈にハマっていました。上記のバンドたちはいわゆる90年代の「USインディ」の代表的なバンドですが、90年代~00年代前半くらいにおける「USインディ」という言葉は指す範囲が広く、音楽性にも共通項があるようなないような曖昧なものでした。
そして、曖昧だったからこそ、レーベルのつながりやミュージシャンのコラボレーションの軌跡を辿ることで多くの作品に出会える面白さがあったのだと思っています。

少し話が逸れましたね。
今回の来日で興味を持ってくれて、Tommy Keeneの音楽を最初に聴くという方にはまずこちらをお勧めしたいです。
1983年から2009年までの楽曲から選ばれた二枚組のコンピレーションアルバムです。Tommy Keeneのベストアルバムの中では今でも手に入りやすく、内容も充実しています。

Tommy Keene You Hear Me : A Retrospective: 1983-2009

中古などで手に入りやすいのは、流通量の多かったMatador時代の作品でしょうか。

Ten Years After

Isolation Party

そして、最新作もものすごくオススメです!30年以上のキャリアを重ねてきたミュージシャンとは思えないくらい、瑞々しくエネルギッシュな作品になっています。
Laugh in the Dark

他にもYouTubeやAppleMUSICでたくさん聴けるので、まずは聴いてみてください。

Tommy Keeneは、The Small Squareのツアーの名古屋公演、大阪公演(地下一階)、クラブワンダー公演、神戸公演、東京公演でアコースティック・ショートライブを行います。
前情報無しで観ても、きっと皆さん気に入っていただけると確信しています。

The Small Squareのツアーについて、詳細はこちら

Indie Rock

DM3大阪公演(日記が終わっていないことを忘れたわけではないんですが…)の時も少し書いた通り、The Small Squareのアルバムリリースに関わらせてもらうことになり、僕とPaul Chastainとの交流が始まりました。

Paul Chastainは、一般的にDIYなインディ・ロッカーの草分けとして認知されていると思いますが、50歳を過ぎた今でも、おそらく皆さんが想像してる以上にずっとDIYな人だと思います。
例えば、TSSのアルバムジャケットや、TシャツのデザインはおおむねPaul自身が制作したものです。ジャケットの写真はPaulの家にあった植物だそうです(もう枯れてしまったらしい…)。
TSSのオフィシャルサイトも全部自分で作っています。ある日、中国からのコンタクトがあり、(中国の規制で)音源がDLできないと言われて、自分で調べて中国版Skype的なソフトをインストールして音源を送ったそうです。

ツアーの準備についても、自分からかなり積極的にいろいろ動いてくれています。
先日はついに、「僕がツアーのフライヤーのデータを作るよ」とまで言い出しました。(結局こっちで作りました)
メールの返信も早いし、基本的にすごくいい感じに物事を進められています。
結構頑固だし、すごく細かくてめんどくさい時も、正直あるけど。あと、すごく道に迷うらしい(チョット心配ダネ)。

私は所謂インディ・ロックが好きで、DIYな活動をしているアーティストの音楽を好んで聴いてきました。一方でここ数年は、自分の中で「インディであるかどうか」が音楽の善し悪しを判断する一つの基準になってしまっているのではなかろうか?と懐疑的になっているところもありました。(また、世の中でも同様の流れがあるのでは?と感じることもいろいろありました。)

けどやっぱり最終的には、音楽それ自体がいかに人の心を打つかってところが大事だと思います。
だから、「インディ的な方法で、本当に良い音楽を届けたい」というのが、今回のツアーの大きなテーマだったりします。

もし、「Velvet Crushがオリジナルメンバーで再始動、Teenage Symphonies to God再現ライブ開催!」という企画なら、大手イベンターの仕事だったかもしれません。(喜んで観に行きます。)
デラックス盤やアナログ盤の再発をした方が、ビジネス的には正解だったのかもしれません。(絶対買います)
けどPaulは、こつこつ書きためた曲を、仲間の力を借りながら形にし、それを携えてツアーに出ることを目指しました。
本当に良い作品が出来たし、彼の新しいスタンダードになり得る曲もあると思います。
(あ、もちろんライブではVelvet Crushの曲もガンガンやってくれます!!)

最高のコンテンツが用意されている以上、ツアーを成功させなければというプレッシャーも感じます!
とにかくがんばりますので、皆さん是非是非遊びに来て下さい!!

チケットのご予約はMoor Worksのサイトからよろしくお願いいたします。

The Small Square CD取扱店舗について

The Small SquareのCD取扱店舗について、お知らせいたします。

全国
Tower Records
HMV
※店頭に在庫が無い場合は、お問い合わせ下さい。

関東
DISK UNION

浜松
sone records

名古屋
FILE-UNDER RECORDS

大阪
REDBONE RECORDS
Club Wonder

WEB STORE
Amazon
CLASSICS RECORDS

【お知らせ】
The Small SquareのCDを取り扱っていただける販売店様を募集しています。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
問い合わせフォーム

Velvet CrushのPaul Chastainの新ユニット、The Small Squareのデビュー・アルバム 6/24(水)発売!!

先日の大阪でのDM3との共演ライブも大好評だったPaul Chastainの新ユニット、The Small Squareのアルバムが発売されます!!
仙台のインディ・レーベル、Moor Worksからのリリースです。
現時点ではUS、ヨーロッパなどでのリリースは決まっておらず、日本での発売が世界初となります!!

the small square
the small square

The Small Squareは、Velvet Crushのシンガー/ベーシストのPaul Chastainと、Tommy Keene他多くのミュージシャンのバックで活躍するドラマーのJohn Richardsonによるユニットです。
デビュー・アルバム『The Small Square』の収録曲は、Paulが10年にわたり書きためたもので、ヴェルクラ活動休止以来久々の新曲群であり、この10年間のベスト的な作品となっています。
また、ユニットのコンセプトとして「他のミュージシャンとのコラボレーション」があり、本作には二人と交流のある多くのミュージシャンが参加しています。Badfingerのギタリスト、Joey Molland。プロデューサー、エンジニアとして活躍している、R.Walt Vincent。ミキシングを担当したのはパワー・ポップ界の重要人物、Adam Schmitt。そして、元Velvet Crushのギタリスト、Jeffrey Underhillとの共作曲も収録されています。

作品の内容については、「もう一回ロックしようぜ!」と昔の焼き直しのような曲をやっているわけではないし、かといってポップ・バンドの後年の作品によくあるような、ルーツに寄った渋い作風にもなっていません。
30年以上に渡り、DIYな活動を続けてきたミュージシャンたちによる、現在進行形のインディ・ロック。
ダイナミックなロック・チューンから、フォーキーなバラード、エモーショナルなミディアム・ナンバーまで、バリエーション豊かな楽曲が並び、そして、いずれもどこか優しい、温かみのあるサウンドになっています。
Velvet Crushのシンガーの新しいバンドのアルバムではありますが、ヴェルクラとはまた違った、The Small Squareの個性が確立された作品となっています。もちろん、メロディーの良さは折紙付です。
パワー・ポップ・ファンはもちろん、90年代のローファイ、インディ・ポップが好きな人や、最近のUSインディを熱心に追っている人にも是非聴いていただきたい一枚となっています。

アルバムは、全国のレコード店や、Amazon、Tower、HMVなどの通信販売でお求めいただけます。
店頭に無い場合は取り寄せも可能ですので、店舗にてお問い合わせ下さい。
Amazon
Tower Records
HMV

DM3 LIVE IN OSAKA DIARY 3

ポール・チャスティンの話を始めると長くなるんだけど、かいつまんでこの日のライブに関係のあることを中心に書いていこう。

ヴェルヴェット・クラッシュのボーカル/ベースのポール・チャスティンの新しいユニット「ザ・スモール・スクエア」のアルバムが、ムーア・ワークスからリリースされることになり、それに伴って僕がアートワークやライナーノーツの制作、ディレクション?を担当させてもらった。
6/24にアルバム『ザ・スモール・スクエア』がリリースされるので、皆さん是非チェックしてください!!
Tower Records
HMV
Amazon

それで頻繁に彼と連絡を取るようになり、その流れで今回ライブに出てくれることになったのだけど、ポールから提案があり、元カーニバル・シーズン、トミー・キーンのバンドのブラッド・クインとのデュオでの出演となった。

共に素晴らしいミュージシャンであり、キャリア的にも申し分ないが、不安がないわけではなかった。
二人とも本職はベーシストであることを置いておくとしても、昔からの知り合いとはいえライブ二ヶ月前に結成された急造デュオでの演奏なのだ。
もちろん、ポールの曲をやる以上、どんな形であれ素晴らしいものになるという確信があり、その前提で出演をオファーしたわけだけど。

結果的に、僕の心配は全くの杞憂に終わった。

ポール曰く「僕らの演奏スタイルが古臭過ぎて、PAの人がびっくりしないかな…」というほど、本当にシンプルな、アコースティック・ギター2本での弾き語り。

ライブは、ザ・スモール・スクエアの”Otherwhile”でスタート。アルバム中、最も勢いのあるロックな曲だ。演奏もラフな感じで、かっこいい。
続いて、ヴェルクラのバージョンでお馴染みのジーン・クラーク ”Why Not Your Baby”のカバー。いつ聴いても沁みる名曲だ。
続く”Ash & Earth”で涙腺が決壊したという方も多かったのではないだろうか。この日は、出し惜しみ無しで名曲を連発してくれた。それでも、まだまだ聴きたい曲はいっぱいあるんだけど!

新旧の曲を織り交ぜて、ライブは進行。この日1,2を争う盛り上がりだったのは、”Hold Me Up”。言わずと知れたヴェルクラの2ndのオープニングを飾る人気曲だが、アコースティックverだと間奏など少し物足りない感じになるのでは?と思ったのだけど、ギターソロもばっちり、ロックなアレンジでかっこよかった。

全編通して、ブラッドがとてもいい仕事をしていたと思う。彼がギターを弾くのは初めて聴いたのだけど、充分ギタリストとしてもやっていけるのでは。ちなみに彼は現在バンドメンバーを探しているそうで、特にドラマーを募集中とのことだ。神戸〜大阪近辺在住で、腕に覚えのある方は是非。

ポールはよくカバー曲を演奏するんだけど、この日はエヴァリー・ブラザーズの”Walk Right Back”のカバーを披露。前述のジーン・クラークもだけど、ポールの選曲は本当にいつもハズレがない。マシュー・スウィートみたいにカバー・アルバムを作ってほしい。

”Atmosphere””Time Wraps Around You”…隣からLady Flashハッピーくんのすすり泣く声が聞こえてくる。彼にもいろいろ思うことがあるんだろう。
僕だって、兄に借りた”Teenage Symphonies to God”を聴いていた高校時代には、自分がポール・チャスティンのライブに関わることができるようになるなんて、夢にも思わなかった。生きてたら良いことがあるものだ。

そして”Drive Me Down”。
世にアコースティック・バージョンで演奏される曲は数あれど、この曲ほどオリジナルとアコースティックで違った魅力を見せる楽曲は無いんじゃないかな。

ひとしきり盛り上がった後、最後はしっとりとスモール・スクエアの”Save My Life”で〆。
アルバムの中でもフォーク色が濃い楽曲で、「70年代の隠れた名曲のカバー」と言われたら信じてしまいそうな雰囲気だ。
素朴で優しいメロディーが、実に彼らしい。

ポール・チャスティンのライブに関わることができて、本当に嬉しく誇らしい気持ちでいます。
今回は「大阪だけ」というスペシャルなライブだったけど、今後は他の街でもライブを企画したいと考えているので、皆さんお楽しみに。

(つづく)

DM3 LIVE IN OSAKA DIARY 2

DM3大阪公演には、以下の四組が出演した(出演順)
Lady Flash
Chelsea Times
Paul Chastain (feat. Brad Quinn)
DM3

お好み焼きをお腹いっぱい食べて、地下一階に戻ると一番手のLady Flashのライブが始まったところだった。
まだ18時台だというのに、フロアにはかなり人が多い。本当にありがたいことだ。

最初、DM3大阪公演を開催するかどうかを迷っている時に、何人かの人に相談したのだけど、そのうちの一人がLady Flashのメンバーのハッピー君だった。彼は数多くのバンドに参加していて自主イベント運営の経験もかなりあり、実際の数字を踏まえてロジカルに、大阪でライブを開催することがそこまで(動員などの面で)リスキーではないことを説明してくれた。まぁ実際はテキトーに調子のいいことを言っていただけなのかもしれないけど、何にしろ、そのお調子者に乗せられて僕はイベント開催を決意したわけだ。

Lady Flashのライブは何度も観ているけど、新ラインナップになってからは初めて。とにかく新メンバーの女子二人がかわいかった。
当初、Lady Flashは音楽の良し悪しは抜きに、テイスト的にこの日のラインナップの中では浮いてしまうのでは?と考えていたが、その浮いている感じが良いアクセントになった。何より楽しくて勢いのある演奏をするバンドなので、イベントのオープニングにぴったりだ。客席の反応も良かったと思う。

Lady Flash終演後、事件が発生した。DM3のCDの在庫が入ったリュックが見つからないのだ。終わってみればアホみたいな話だったので詳しくは書かないが、お騒がせしてしまい申し訳なかったです…緊張のあまり混乱してたと思っててください…。
アホな僕のために荷物を運んでくれたみっちゃん、ヒロさん、本当にありがとうございました。

この日の転換DJは、「ニューヨーク怒りの用心棒」ことリュウ君にお願いしたのだけど、毎度のことながら前後の出演者に合わせた絶妙な選曲で場を盛り上げてくれた。
Posies – Solar SisterやMatthew Sweet – Sick of Myself、TFC – Radioなど、90sパワーポップのド定番どころが多く流れてたところからも、彼の気合いと気遣いがうかがえた。
もう12年も前に彼と友人たちと一緒に「Totally Pop」というDJイベントを始めて、その時はDJの数よりお客さんの方が少なかったんだけど、この日は満員のライブハウスで回してもらうことができた。ちなみに余談だが「Totally Pop」は、12年前から毎年開催され、イベントの最後には必ずヴェルヴェット・クラッシュの”Drive Me Down”が流れている。

続いて、Chelsea Times。
実は僕は、彼らが最初に活動してた頃を知らなくて、再始動後のデモ音源を聴いて「これは!」と思い、コンタクトを取ったのだった。
そして、メンバーの皆さんはヴェルヴェット・クラッシュに深い思い入れがあるということで、出演を快諾してくれた。
ライブは想像よりもずっとパンキッシュで、演奏も上手く、何より曲が抜群に良い。「Melody」を冠するイベントにぴったりのバンドだと思った。

楽しい夜はまだまだ続きます。次はいよいよ、ポール・チャスティンの出番だ。

(つづく)

DM3 LIVE IN OSAKA DIARY 1

2015年5月4日13時半、新大阪駅のドトール・コーヒー。
僕はそわそわしていた。
この日、大阪でライブを行うオーストラリア・パースのバンド、DM3を迎えにきたのだった。

ことの発端は2月16日にさかのぼる。
DM3の来日が発表になった時、こんなツイートをしたのだけど


これがきっかけで、主催者のTarget Earthの中上さんと連絡を取り、なんと本当に大阪公演を開催させていただくこととなったのだ。
しかも、本当にヴェルヴェット・クラッシュのポール・チャスティンも一緒に。

DM3は5月1日から3日まで、東京でライブを行っており、その後大阪に移動してライブをして、2日弱滞在して関空からオーストラリアに帰るというスケジュール。
東京でのライブは連日大盛況、ネット上でも絶賛の嵐で、既に僕はいてもたってもいられない状態だった。
4日の朝、東京~大阪間の付き添いのスタッフはおらず、バンドメンバーたちのみで新幹線に乗って来てもらった。ホテルから品川駅まで送迎してくれた友人のお肉さん(仮名)、本当にありがとう。

新幹線は予定通り到着。予約した座席辺りの出口で待っていると、大荷物と楽器を持った外国人が四人出てきた。

…なんか全体的に、でかい!

最初に彼らを見た感想だった。なんというか、いかにもオーストラリアのバンドって感じだ。
そしてこの後、私は彼らの見た目以上にパワフルなパフォーマンスと、ジェントルな人間性を知ることになるのだった。

メンバーは3人。
ボーカル/ギターのドム、ベースのトニー、ドラムのパスカル。
そして、カメラマンのロビーが同行している。

これまでも海外のバンドのアテンドをしたことはあったけど、そんな時はたいてい他に英語が話せる人がいた。今回は、自分一人。乏しい英語力ともっと乏しいコミュニケーション能力でなんとかやっていくしかねえ!腹をくくって、ドムと2,3言話し、みんなを先導してタクシー乗り場へ向かったのだった。
この時は、「なんかオドオドして頼りないプロモーターだなぁ今夜のライブ大丈夫かよ…」と思われていたことだろう。なんか頼りないという点については、最後まで払拭できたかわからないけど。

新大阪駅前のタクシー乗り場で、トニーがタクシー…というかマイクロバスに近い、でかい車を見つけた。普通のタクシー2台で行くつもりだったんだけど、これなら1台で行けるし、料金も結果的に安くなりそうだった。いかにもロックバンドのツアーって感じでテンションが高まる。モンスター・オブ・ジャングル御一行が大阪の街を往く。

車中でも僕はあんまりメンバーと話せずそわそわしてたんだけど、隣になったパスカルが話しかけてくれた。地図を見ながら、「フェスティバルホールってどこか知ってる?」
何か明日観たいライブでもあるのかな?と思ったのだけど、話を聞くと「ディープ・パープルのライブ盤が録音された場所なんだ」とのこと。その時は、わざわざ観に行くほどのもんか?と思ったのだけど、後ほど書くけどこれは思いのほか感動的なエピソードだった。

ライブの準備で苦労したのはホテル探しで、日程がちょうどGWど真ん中のためどこも早い段階で予約が埋まっており、部屋を確保するのが大変だった。なんとか2泊分確保した梅田のちょっといかがわしいエリアのホテルにチェックイン。
少し休んで、すぐ会場のある松屋町に向かう。ハード・スケジュールだ。

でかい車で松屋町へ。会場の地下一階(ライブハウスの名前)にほぼ時間通りに到着。滞在中通して、みんな時間をきっちり守ってくれる人たちで本当に助かった。
荷物を運び込んでいると、ほどなくポールたちも到着。今夜の主役たちのご対面だ。
ドムとポールは、一度オースティンのフェス、SXSWの会場でちらっと会ったことがあるそうだけど、ちゃんと話すのは初めてのようだった。
いずれも90年代を代表するパワーポップ界の名ソングライター。また、ヴェルヴェット・クラッシュ、DM3ともにミッチ・イースターとの仕事で名盤を生み出しているなど繋がりもあり、そのメンバーたちがこうして出会っているのは、とても感慨深いものだった。

しばらくの歓談の後、DM3がリハを始める。既にネットで様々な感想に目を通していたが、想像を超える大迫力の演奏。期待が確信に変わった。間違いなく、最高の夜になる。

リハの後、みんなでお好み焼きを食べに行った。英語で食べ物のことを説明するのは難しい……。

(つづく)

Paul Chastainの10曲【入門編】

「Paul Chastainの音楽をまだ聴いたことがない」という方のために、Youtubeにあったものの中からおすすめの曲を集めました。7はPuffyの大貫亜美への提供曲。10は、Paulの新ユニット、The Small Squareの曲です。

1. Choo Choo Train – High

2. Velvet Crush – Drive Me Down

3. Velvet Crush – Ash & Earth

4. Velvet Crush – Hold Me Up

5. Velvet Crush – Time Wraps around You

6. Velvet Crush – Faster Days

7. 大貫亜美 – Be Someone Tonight

8. Velvet Crush – Goin’ To My Head

9. Velvet Crush – Please Don’t Take Me Down

10. The Small Square – Stories

畑を耕す

ところで、昔からの知り合いや、書いた文章やネットでの発言をチェックしてくださっている方の中には、私がDM3大阪公演を企画することに違和感をおぼえる人もいるのでは、と思います。

いわゆるパワーポップの熱心なリスナーというよりは、もう少しイマドキっぽいUSインディものを聴いている人というイメージが強いかもしれないし、最近知り合った人には昔のメジャーバンドが好きな人と思われているかもしれません。
(ELOの話ばかりしていた時期があったため)

もちろんどれも好きなんですが、たしかに自分でもDM3のライブを企画するのは、意外なような気もします。

私よりパンク/パワーポップに詳しい人なんていくらでもいるし、もっと相応しい人もいただろうと。
最初にお話をいただいた時、「僕なんかがやってもいいものなのか?」という葛藤は正直なところ、ありました。

しかし、やや畑違い気味な人がオーガナイズするからこそ、面白いこともあるようにも思えてきました。

そもそもTarget Earthの中上さんがDM3の来日を企画してくれてなかったら大阪でライブをすることもできなかったし、Paulとの繋がりはClub Wonderからだし、This Timeとかヒデアキとの絡みが無かったらChelsea Timesも知らなかったかもしれないし、Lady Flashのハッピー君がたまたまDM3のファンで、後押ししてくれたから大阪公演を企画しようと思い立ったわけで。
(そもそも身の回りの熱心なロックファンの友人たちがいなかったら、そんなことしようって発想もなかったよ!)

そういう、いろんなところにいる人たちとの関わりがあるのは今の自分ならではだと思うし、とてもエキサイティングなことをしているなぁと思っています。

インターネットの普及から随分経ち、ロックの特定の1ジャンルを探求するのはとても簡単になったと思います。
しかし、ちょっと風通しの悪さを感じることもあるようなないような。
「ジャンルの壁をぶちこわしてやるぜ!」みたいな気概ではなくて、やんわり畑を耕してみよう、という気持ちで。